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 僕の憂鬱
© 芳香 
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 R指定:有り
 キーワード:いじめられっ子と、いじめっ子
 あらすじ:何でも一番でなぃと気がすまない優、だが ある時 なんの取り柄もないような根暗野郎が、学年一位を取りやがった…
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「おい、古屋」

また 今日も
どんな嫌がらせをしてやろうか。


「…なんでしょうか、加賀くん、」

奴は、不機嫌さを思いっ切り表情に出す

「ちょっと、来い」
「……分かりました。」

断っても無駄 というのは、奴自身 分かっているらしい
古屋は、大人しく俺の後を付いてきた
着いたのは、滅多に人がこない倉庫
あまり使われないから、教師すらこの場所を知らない奴も居る


「入れ。」

錆び付いた倉庫の扉を開ける
入ろうとしない古屋に苛立つと、奴の腕を掴んで無理矢理 中に押し込んだ

「…ッ、けほっ、」

中は掃除なんて一切されていない
床の埃が、歩くだけで舞い上がった

「古屋、
お前 なんで来たんだよ」
「…は?」

古屋は、唐突な質問に首を傾げる

「なんで、この学園に来たんだよ
テメェが来なけりゃ、俺が一番なのに
なんでテメェなんかが一番なんだ…」

「痛−…加賀…くん?」


掴んだままの腕に力を入れる
古屋は、当然 眉間に皺を寄せた

「テメェのせいで、全部目茶苦茶だ」

狭い倉庫の中
古屋が後退ると、壁に奴が追い込まれる
少し不安気な表情に見えた

掴んだ手に、更に力を入れる


「だから…
テメェを目茶苦茶にしてやる。」


睨み付けるように古屋を見つめた
びくり と肩が震える
小さく震える体を壁に押し付けて
自分の体を密着させる

当然 押し返されるが、力は俺の方が強い

押し返してくる腕を掴み
奴の後ろに回させて、片手で拘束する

「加賀く…ッ、離して、」

精一杯 暴れる奴に、沸き起こる優越感
口端を薄く上げると
古屋の きっちり着込んである学ランの襟首のボタンを外す

「ぇ… ゃ、やだ、やめて、」

ようやく何をされるのか分かった奴に、焦りと恐怖の色が出始める
構わず、ボタンを全部 外すと
中のワイシャツのボタンも外す

現れたのは
想像より、真っ白な肌
少し暗い倉庫の中、更に白く浮上る


−−…とくん、



「加賀くん…ッ、やめて、」

濡れてきた奴の目尻に
怖がるな と言わんばかりに、口付けた
口付けてから、我に反る


なに… しているんだ…

怖がらせて、目茶苦茶にしてやる筈だろ
なのに、こいつの泣きそうな顔 見たら…



「ッ…!////」

顔に熱が上がるのを感じた
拘束していた筈の手を、慌てて離す


−−どくんっ、どくんっ


高鳴る胸元を掴んだ
訳が分からず、古屋を見つめる
古屋も不思議そうに俺を見つめた

だが 今は…
その視線でさえ、鼓動が早くなる


「−−…くそ、
もう いい! 早く行けっ!!」

「っ?」

急に荒げた声に
古屋は、びくり と体を震わせた
分からない ような表情をしてはいたが、はだけた制服の前を握り締めると
俺の横をすり抜けて、倉庫を出て行った


さっきまで古屋が居た場所に
拳を叩き付ける
バシンッ と響き、手が ジリジリと痛む



「…畜生、なんなんだよ…」


ドクドク と心臓が脈打つ
いつもより早くて、大きくて、

頭に、古屋の声 顔 肌が浮かぶ

ズルズル とその場に座り込む
古屋の腕を掴んだ掌を見つめる
まだ 奴の温かさが残っているみたいで
そのまま握り締めた…



認めたくない。

認めたら駄目なんだ。

これは、

これは、違う…


俺は、

俺…は…






「−−−−−…古屋…、」











2008/06/08
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