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 恋の種
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 キーワード:同級生、未告白
 あらすじ:3年前・・・中学1年のあの日、西川仁は伊原正宗に出会ってしまった。 小説のサブキャラ、出会いの話
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教室はやけにガヤガヤとしている。
それもそのはず、入学式が終わり、小学校の同級生を見つけては友達の輪を広げようとまだ初々しい中学生達はやっきになっているから。
西川仁はそんなやつらを冷めた目で見ていた。

ダルい・・・

別にただ中学という学校に進んだだけ。大して知らないヤツが多いわけでもないのに、そうまで必死に『友達』を作る事が理解できなかった。
時間を持て余し、机に突っ伏した。
「お〜い」
ガヤガヤと耳障りな音の中で誰かが誰かを呼ぶ。
「お〜ぃ・・・寝てる??」
聞いたコトのない声。明らかに自分を呼んでいる風な声に、仁は顔をあげた。
「あ、起きた。」
中学生にしてはわりと背の高いその少年は、垂れた目でにこにこと嬉しそうに笑った。
「ダレ・・・??どこ小??」
「俺、伊原正宗っていうんだ。小学校は県外から来たんだ。」
どうりで見ない顔だと仁は思った。
このにこにこと笑う顔はなぜか見ているこっちも明るい気持ちになる。
「俺は・・・西川仁。」
「ヨロシクな、仁」
「イキナリ呼び捨てかよ・・・」
「え、嫌だった??」
正宗はキョトンとした顔をした。
「い・・・嫌とは言ってないじゃねえか。」
すると満面の笑みで
「良かった。俺も正宗って呼べよ。」
と言った。

ドクン・・・

仁は何か心臓が跳ねたような感覚を覚えた。
それはほんの一瞬の出来事。
「どうした??」
「ッ何でもない。」
そう、きっと何でもなかったんだ・・・と、仁は自分に言い効かせた。

気付かないまま、最初の種は蒔かれた。

「何で俺に声かけたんだよ??」
「ん〜??何となく??」
「何となくって・・・」
仁は呆れてため息をついた。そんな仁を見て正宗はケタケタ笑う。
「ウソウソ。仁目立ってんだもん。カワイイ顔してるよね!!」
「カワイイって言うな!!」
相変わらずケタケタと正宗は笑った。


このマイペース男への気持ちが、仁に芽生えるのは、そう遠くない。









2007/01/20
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