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 恋着催眠
© Joker 
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 R指定:有り
 キーワード:先輩×後輩/催眠/従順/狂愛(?)
 あらすじ:「綺麗な髪してるよね」いきなり近寄ってキスをしてきた先輩に催眠をかけられて―…!?
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「アツシ、荷物の用意したら一緒に帰ろう??」

汗臭いサッカー部の部室のドアを開ける明らかに場違いな人物に俺は眉間にしわをよせ彼を見た。

「土屋[ツチヤ]先輩…ここには来ないでって言ったのに…」

スラっとした長身に、きめ細やかの色白の肌…この高校で土屋先輩はひときわ目立つ存在だった。

その上頭も良く、土屋先輩に振られたと泣いている女子を見かけることも少なくはない。

そんな一目置かれている人がこのぼろ臭くて部活後のムサイ男子が集まるサッカー部の部室に来ているのだ。

周りが注目しないわけがない。

そして毎度毎度『なんでお前みたいな平凡野郎が土屋先輩と知り合いなんだよ』と俺はサッカー部の連中から睨まれる訳で…。

別に先輩に会いたくないわけじゃない。

でもここには来てほしくないんだ…。

「ごめん…帰っちゃう前に伝えなきゃって思って。今日携帯忘れてきちゃってさ」

…その綺麗な顔が困ったように笑みをつくり、眉尻を下げたままドアに手がかけられた。

「…別に下駄箱でもいいでしょ…じゃあ俺行くから、またな」

サッカー部の面々に手を振りながら土屋先輩の背中を押す。

「家…今日来られる??」

「…大丈夫です」

「良かった」

俺より少し背の高い先輩の綺麗な手が頭を優しく撫で、小さく笑みを浮かべる。

この笑顔に弱いんだ…。

いつもいつも先輩と一緒に帰るの楽しみにしてて…俺バカみてぇだし。

でも先輩が笑ってくれるとなんか嬉しくて…。

話してるだけで幸せで…。

こんな平凡極まりない俺をかまってくれる先輩は本当優しいと思う。

俺と先輩は中学からの知り合いだった。

中学でもひときわ目立っていた先輩は保健委員で、サッカー部の俺はちょくちょく先輩には世話になっていたのだ。

そして高校も先輩と同じところにいきたいからと無理して入り…そのせいで学年のワースト10に入るほど成績は悪い。

…憧れてるんだ。

この人に…誰にでも優しい、この先輩に―…。

「ごめんね、今飲み物用意するから」

「あ、別にいいですよ。どうせ1時間くらいで帰るんですし」

先輩の几帳面な性格がモロに出ている綺麗に片付いている部屋に入り荷物をおろす。

大抵いつも遊びに来るときは1時間くらい他愛もない会話をして帰るのだ。

こうやって先輩の家にくるのはこれでもう20回目くらいになるんだと思う。

入学してから結構頻繁に遊びに来ているのだ。

「んー…今日、もう少し時間平気??」

「別にいいですけど…ウチは何時でも…」

いつも先輩の家に悪いと思うから帰るだけで…俺はいられるもんならいたい訳だし…。

「………なんすか??」

ジッとこっちを見る整った顔に一瞬たじろぎながら先輩を見た。

「…アツシって…綺麗な髪してるよね…」

「…は!?え、ちょ…俺汗臭いですからあんま近寄んないでください…っ」

先輩の細い指が俺の髪をとき、心臓の音が聞こえそうなくらい至近距離に迫る。

「そんなことないよ…僕…サッカーしてる時のアツシ見るの好きだよ??」

「…あ…ありがとうございます…」

ドキドキしながらも先輩と距離をとっていると急にその手のひらが肩に触れる。

「…せ…先輩…??」

「本当…僕好みの体だな…」

「な…何言って…っ」

その手が肩をすべって俺の手を握り、そのまま前へ強く引かれる。

「…んんっ!?…っ…」

いつの間にか重なった唇に驚きを隠せず固まっていたが我に返り、先輩を強く押し返した。

「な…なにすんですか!!!」

頭がぐちゃぐちゃで、自分でも何を言ってるか分からないほど焦っているのが分かる。

なんのつもりだ…。

今までこんなことしてきたことなんて一度もなかったのに…っ。

「ねぇ…好きだって言ったら…どうする??」

「…は…はぁ??だって…俺男ですよ?!」

「うん…知ってる」

一歩一歩歩み寄る先輩に後ずさりすると後ろはベッドで、動きが止まった。

「ふざ…ふざけんのもいい加減に…っ俺はホモじゃねぇ…っ」

「うん…それも知ってる」

そのまま押し倒され、また顔がまじかに迫る。

「ちょ…!!まじでふざけんな!!ホント…やめろ…っ」

強く胸を押すと先輩の手が俺の頬に触れた。

「目…僕の目を見て……」

「はぁ!?まじで勘弁し………っ」

先輩の目は…澄んだ黒…闇みたいな漆黒の黒…。





瞳が……青い………。




昼夜が逆転したみたいに…。




真っ青な青空が…






落ちる―…………。









青く澄んだ…これは…なに―…??

―――――――――………。

土屋Side

布団の上で寝息を立てるアツシを見下ろし髪をかきあげた。

「…成功…かな??」

どうしても手に入れたい。

募った想いは狂気へと変わり、お前を支配したいという気持ちだけが優先する。

愛してる。

独占したい。

傍に居てほしい。

僕の従順な…玩具にしたい。

「愛してるよ…アツシ…」

再びキスをして、舌をからめとる。

「………っん」

フッとまつ毛が動き、うつろな瞳が俺を視界にとらえた。

「……土屋…様……」

「目が覚めた…??アツシ…」

「はい…目が覚めました」

生気の抜けたような瞳と、いつもならどんなに頼んでも絶対にいってくれることのないであろう「様」付けの名前―…。

確信した。

成功したんだ…。




……僕の催眠術は―…。





こんな狂った愛認められることなどないと百も承知だ。

だからこうやって…君を手に入れた。

僕だけの…玩具を―…。

「僕は…君のなに??」

「主人です…土屋様…」

「いい子だ…アツシ…」

唇を重ね何度も角度を変えてキスをしてもさっきと同じように嫌がるなんてことはしない。

されるがままに身をゆだねて…



愛しい…愛しい…





僕の玩具になったんだ―……。



「アツシ…服脱いで」

「はい、服を脱ぎます…土屋様…」

焦点の定まらない目は僕をぼんやりと視界にだけ置き、制服のネクタイを外していく。

どんどん素肌が晒されていき、数分たった時にはもうアツシはなにも身に着けていない格好になった。

「綺麗だ…」

裸体をツツッっと指で撫でるとピクッと体が小さく跳ね、その反応を楽しむかのように舌を這わす。

「…っ…ん…」

相変わらず目は虚ろなままだが少し頬が赤く染まっていた。

何度も首筋に唇を落とし肌に鬱血のあとがいくつも残っていく。

「ふぁ…っ!!ぁ…んんっ」

胸の突起を甘噛みすると背が反り返り声が漏れる。

「感じてるの…??」

「っ…はい…つ…ちや様…っ」

赤く染まった頬に濡れた瞳、こんな表情きっと僕以外誰にも見せない。

こんな言葉きっと僕以外誰にも言わない。

僕だけ―……。

アツシの主人は僕だけだ―……。

淫茎を上下に擦るとより一層声が大きくなっていく。

「ぁ…っ、つ…ンッ」

「アツシ…こっち向いて」

吐息の漏れる口元を押さえながら僕から顔を逸らしていたアツシの顎を軽く掴む。

「……はぁ…っ土屋…様…ぁ!!」

潤んだ瞳がこっちを向き、亀頭に軽く触れるとまた硬く目が閉じられた。

「僕を見て…お前の主人は僕だろ…??」

「はい…俺の主人は…土屋様だけです…っ」

髪をかきあげアツシの目を覗きこむと虚ろな瞳が少しだけ大きく見開かれる。

この目…この青い瞳さえあれば僕はアツシを思い通りにできるんだ。

好きだと言わせることも、僕の言うことを従順に聞く玩具にすることも―…。

いつもはカラコンをいれていたから周りにバレることはなかったが昔から僕の右目は綺麗なスカイブルーだった。

だが日本人の両親から生まれ、片目だけの青い瞳…周りが恐ろしく思わないわけがない。

その為小さいころから黒いカラコンをつけて自分を偽ってきたのだ。

それが…今ではどうだ。

この瞳をアツシの目に映せばすぐに暗示にかけられる。

最高な優越感。

むしろ歓喜だった。

「ぁ…土屋様……」

虚ろな瞳は俺の青い瞳を映したまま揺らいでいた。

この暗示は今はきかなくていいんだ。

もう少ししたら…お前が僕のものになる為に多いに役立つ暗示になる。

「僕のこと…好き??」

「好きです…大好きです…っぁ!土屋様は…俺の主人…っ…だか…っらぁ…」

返事をしている間も下肢の愛撫を続け、乱れるアツシを見て口元に弧を描く。

「こんなに僕の手を汚して…いけない子だな…アツシは…」

「ぁ…、すみません…っごめんなさ…」

僕に拒絶されることをどんなにお前が恐れているかを僕は知ってる。

だからわざと突き放して、僕の下に這いつくばらせるんだ。

「舐めろ、アツシ…」

「はい…舐めます土屋様…」

自分の先走りで濡れた手をアツシは躊躇いもなく舐めていく。

「ふ…っ!?んっ…ぁ…そんな…とこ…っ」

四つん這いで僕の指を舐めていたアツシの蕾の周辺を指で撫でると体がビクッと跳ねた。

「いいから、アツシは僕の指を汚した始末しないとでしょ??」

「ぁ…っ…ン、はい…っすみませ…ぁっ!!」

口を指に近づけた瞬間に指を一本蕾に忍ばせると大きく背をそらした。

「…土屋…様…ンンっ!っ…」

指を抜きまだ一度も絶頂をむかえていない下肢に触れると、今にも達しそうな程に熱を持っている。

「イキそう??そんなに気持ちいいんだ、ここ」

もう一度蕾に指を移動させ、中を強引にかき回す。

「ぁ…っ!!イっちゃ…ま…す…っ」

僕の指を必死で舐めようと努力しても快感から逃れることはぜきず、甘い声だけが唇から洩れていく。

「ホント…淫乱すぎ…」

うつ伏せに押し倒し、蕾に指を出し入れするとビクビクと体が震え、絶頂が近いのを悟った。

「アツシ、待って。ストップ」

「……………」

耳元の声に反応するようにクタッとアツシの体から力が抜け、うつ伏せにベットに崩れ落ちた。

その体を仰向けに寝かせる。

「意識ないのに、イキそうじゃん」

まるで人形のようにぐったりと寝転がるアツシの体はヒクヒクと痙攣し、今にも絶頂をむかえそうだった。

かろうじて開いている瞳はさっきよりも虚ろで、頬に触れてキスをしてもなんの反応も示さずにボーっと視線は宙をさまよっている。

イカないよう陰茎の根元をきつく太めの紐で縛り、蕾にバイブを押し込むと体がビクビクと震えた。

「あれ…使おうかな」

自分の鞄をあさり、今日見知らぬ女子から告白されたときにもらったシュークリームを箱から取り出しわしづかみにする。

「手作りだっけ…結構よくできてるじゃん」

それを片手でぐしゃっと握り潰し、手からあふれたクリームがアツシの体を汚していく。

手についたクリームも体に塗りたくり、生地をゴミ箱に突っ込むとアツシの耳元にもう一度唇を寄せる。

バイブのスイッチを入れると同時に耳元でささやいた。

「いいよ…??動いて」

「…ぁ…っ!!や…なっ…っぅぁっやぁ!!!ぁ…あ…っ、ん!」

フッと意識が戻り、狂ったように首を振り喘ぐ姿に満足気にその様子を見つめる。

イキたくても下肢の紐が邪魔をしてイケないためアツシの手が下肢のひもへと向かう。

「イキたいの??」

涙を流しながらコクコクと何度もうなずくアツシを見て口角を上げた。

「…どうぞ??勝手に外したら??」

「ぁ…っ!!んっ、やぁ…っつっ…」

快感に身をよじりながら紐をとろうとクリームだらけの手が固く結ばれた結び目に触れる。

その度に手があたり快感が増してしまうのかじれったいように手が震えていた。

「と…ッて…ぇ…っください…んぁ…!!も…イキた…」

パンパンにはった下肢に触れ、亀頭の筋に指を這わす。

「やぁ…!!たすけ…っも…変なる…ぁぁ!!やめ…っ」

「分かったよ、取ってあげる」

「ぁ…っ、あっ…ぁ…ん…ゃ!!」

紐に手をかけるとその振動で快感に震えていた。

シュルっとその紐をほどくとビクビクと体が震える。

「な…なん…でぇ??…とれたの…に…ぁっ…イケな…い…っゃぁ」

当たり前でしょ??イカないように催眠かけたんだから。

もっとイク寸前の表情が見ていたい。

もっと…もっと乱れた姿が見たい。

「おねが…イカせ…て…っくださ…」

「じゃぁ…アツシが綺麗になったらイッていいよ??体、僕が舐め終わるまで我慢してね??」

クリームでベトベトになった首筋をなめまわすとその度に体が震えていた。

「ゃぁ…っ、土屋様ぁ…っは…はぁ…」

首筋から鎖骨へ、胸を撫でまわしながらアツシの指のクリームをなめとる。

「んんっ…!!っ…ふ…ぅ…ぁ!ぁ…っ」

クリームで滑りがよくなった指で硬くなった胸の突起の先端を上下に揺らし、もう片方を口にくわえる。

「や…もう…無理…です…っあぁっ!」

「そんな気持ちいい??」

「きもちい…れす…っ土屋様…っ」

呂律がまわらなくなるほど快感に溺れているアツシを…誰が見ることができる??

僕だけ…僕だけだ。

「もう…イッっていいよ??」

「ぁ…んぁ!!!ぁっ…土…屋…さまぁ…っ土屋さま…っ!ん…っはぁ…はぁ…」

僕の名前を連呼しながら果てたアツシの耳たぶを軽く噛み、かすれた声を届かせる。

「ここのバイブ…どうしてほしいんだっけ??」

「ぁ…」

僕の催眠は完璧だ。

言うセリフことだって…なにもかも僕の思い通り。

「マックスに…してください…っ」

「ホント…淫乱」

「ふぁ!?あぁ…っ!!ん…っつっ…!!」

イッた筈の下肢はみるみる熱を帯び始め、唾液と涙で顔はもうぐちゃぐちゃだった。

「やっぱ…り…っ、土屋様のがい…いっ」

体を震わせながら哀願され、手が僕の制服の裾を強く掴む。

「おねが…っします…、…」

「ホント可愛いな…アツシは…」

自分のベルトを外し自身を取り出すとそれをアツシの蕾にあてがう。

「はぁ…!!ぅ…ンンっ、ぁっ」

ギリギリまで抜きそれを最奥まで突っ込み、何度も何度も奥をついていく。

「ぁ、ぁ、っ…ゃぁ…っ…っつぁ!!!!!!!」

目が大きく見開かれ、僕を見る目から涙が頬を伝う。

「ぅぁ!!いっ…なにしてんだ!!…せんぱ…っ!!ぁぁ!!!」

「もうとけたか…思ったより早かったな…」

催眠のとけたアツシは最初は痛みに悶えていたがだんだんと声が艶やかになっていく。

「…なに…こ…っぁっ、ンンっ…ゃ…」

「自分から僕のこと求めてきたのに…今更なにしてんだはないよ…」

腰を打ち付けながら顔を覗きこむとポロポロと涙が頬を伝っていく。

「ぁ、ぁっ…ゃ…っん」

でもこれが僕の求めたこと。

素のアツシのこの痛みに悶える表情も見たかったから…。

それでも…もう催眠が完全にとけていると思ったら大間違いだ。

後暗示の存在にアツシは気付かない。

アツシは絶対に…今後僕を求めてくる。

自分の意思で…そうアツシは思い込むんだ。




それも催眠の一部なのにさ―…。





それでもこれからアツシを完全に落としていく。

初めは催眠だってかまわない。

「アツシは僕のものになる運命なんだよ…」

「っざ…けんな…!!まじ…ゃっ…」

僕がアツシの中で果てたと同時にアツシは意識を失った。

意識を失ったアツシの濡れた前髪をかき分け体を丹念にふき制服を整える。

苦しそうな表情を浮かべたまま小さく寝息を立てていた。

「僕のものだ…誰にも渡さない…誰にも…」

唇を重ね舌をからめると呼吸が少し乱れ銀の糸が二人の唇をつなぐ。

「…ん…っ…土屋…先輩…っ」

見ている夢でさえ僕の催眠術で見せている幻想だ。

早くお前が僕のものになるように、早く僕だけをみるように…そのためのステップにすぎない。

眉間にしわをよせたままうめくような声が聞こえる。

「…………」

サラっとした髪を指でとき、額にキスをおとすと安堵したように表情が安らいだ。

好きだ。

アツシを手に入れられるなら…どんな手段でも使ってやる。

愛してる。

僕だけのものでいいんだ。

他なんて見る必要ない。

僕だけでいいんだよ…他を見ることなんて……






僕が許さない――――…………。


――――――――――……。

アツシSide

ここは…どこ…??

ふわふわしてて…夢の中みたいな…。

あ…澄んだ…スカイブルーが…

真っ暗な世界が真っ二つに割れるように空から青がぶわっと入り込み、一気に視界が青にうまる。

「………っ」

遠くから歩いてくる人と目を凝らしてみると土屋先輩だった。

なにか…忘れているような…なんなんだろうこの気持ち。

なにかつっかえてる。

先輩との間に…あった出来事が思い出せない。

「土屋…先輩??」

「好きだよ…アツシ…お前は…僕のものだ…誰にも渡さない…誰にも…」

「なに…言って…」

俺…なにを忘れてるんだろう…。

どうして…??

この人が愛しい。

憧れなんて弱い感情じゃなくて…愛しさ。

恋い焦がれる焦燥が…俺を駆り立てる。

「好きだ…愛してる」

額にキスをおとされ思い出した。

俺は…先輩と付き合っていたんだ。

「先輩…俺…先輩の恋人ですよね…??」

「そんな当然のことどうして聞くの??」

あぁ…やっぱり。

愛しさの理由はきっとこれだ。

どうしてそんな大切なこと忘れてたんだろうか…。

愛しい。

愛しい。

この人が…憧れなんかじゃなくて…愛しさが…全身を支配して…





気が狂いそうだ―………。


「……っ」

「起きた??」

「……土屋…先輩…??」

目をうっすらとあけてあたりを見回すと机では先輩が勉強道具を広げシャーペンを走らせていて、俺はベットの上に横たわっていた。

「部活で疲れてたのかな??寝ちゃったみたい」

「へ!?あ!!すみません!!風呂も入ってないのにベット上がっちゃって!!」

ベットから起き上がろうと体を起こすと腰に激痛が走りぐらっと体が揺れベットから落ちかける。

その体を支えたのは先輩の腕だった。

「…す…すみません…っ」

「最近頑張りすぎたんじゃない??無理しなくていいから…」

先輩の顔がまじかに迫り、ふわっと甘い香りが鼻をくすぐる。

「ぁ………」

カァッと頬が赤く染まり顔を背ける。

恋人相手になに緊張してんだよ俺…。

「どうしたの??顔赤いけどやっぱり具合悪い??」

「だ…大丈夫です…」

フと時計に目をやると、あまりの遅い時間に目を見開いた。

「もう9時ですか!?…っ…すみませんこんな時間まで!!」

「いいよいいよ、それよりアツシの家の方が心配してるんじゃない??」

「いや…ウチは平気です、すみませんでした。それじゃ…」

ベットから立ち上がり鞄を取ろうと手を伸ばすとその手が先輩によって掴まれ、顎を掴まれる。

「…じゃぁね、また明日」

「………っ…!!は…はいっ」

そのまま唇が重なり、軽くキスを交わすと先輩はにっこりと俺にほほ笑み手を離した。

それだけでもう心臓は痛いほど震え、真っ赤な顔のまま先輩に抱きついた。

昔から好きな相手にはひどく消極的な俺がどうしてここまでできたのかわからない。

どうしてここまで先輩を愛しく感じているのだろう…。

「また…明日……」

そのまま体を離し俯き逃げるように部屋を去って行った。




「後暗示成功か……もう僕から逃れることなんて許さないよ…アツシ……」




そんな俺は先輩の悪魔の笑みを見ることはなく、そのセリフが耳に届くこともなかった……。







――――――――――――――END………。







2010/10/21
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