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笑顔の仮面
R指定:無し
キーワード:学園 友情 ドタバタ
あらすじ:連載中の「星ヶ峰学園」の生徒会長と副会長のある日のやりとり。副会長語りで。
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「…はー」
口から出るのはため息ばかり。
好きだった。本当に好きだった。
寝ても冷めてもあんたのことばっか考えてた。
だけど。
こんな現実突き付けられたら、もう、どうしようもないだろ。
大好きだった人が、自分の姉と結婚する。
だから、
「おめでとう」
綺麗な笑顔の仮面をつけよう。
ほら、あんたも、僕の大事な人たちも嬉しそうに笑ってる。
僕も同じような顔を真似て笑って。
元に戻っただけだって言い聞かせて、その日は終わった。
だけど僕の心にぽっかりあいた穴はぱかっと口を広げたままで…
次の日の放課後、僕はいつものように生徒会の仕事をしていた。
僕が副会長で、会長は…
「…いち、貴一!てめぇ何ぼーっとしてやがるんだ」
この、俺様な男。声をかけられて少し驚いて、
「…ああ、なんだ京善か」
ため息をついてやったら、
「なんだとはなんだ!珍しいな?お前がぼぉっとするなんて」
面白いって顔で笑われて少し、むっとする。
「煩いな。君こそ、珍しく仕事してるくせに僕に命令かい」
ため息をついたら、じ、と見つめられて。
「また溜め込んでやがるな?」
真面目な顔でそう、言われた。
ああ、本当、君はどうでもいい時に鋭い。
「…何?慰めてくれるの?」
「そんな気もねぇくせに…ああ、そういえばあの一年、面白いよなぁ、俺、気に入ったんだけど。教室見にいこーかね」
「…やめてね、余計な仕事増やすの…言っとくけど、また手なんかだしたら…
ありとあらゆる嫌がらせを決行させてもらうからね」
「…やめろよ、お前が言うと冗談に聞こえない」
「本気だからね」
最近、この俺様生徒会長の竹馬の友、武田京善にお気に入りができてしまって。
…僕の仕事がまた増えてる。
僕もあの子、嫌いじゃないから。
あんまりいじめないであげてほしいんだけどな。
…僕もたまにいじめたくなるけどね、あんまり反応が楽しくて。
こんなやりとりは日常で。
それでも、今はなんだかそれも心地よかった。
ああ、なんでもいい。
…また、夢中になれるものが欲しい。そうしたら、きっと、あんたのことなんて…
思い出になるんだから。
さぁ、笑顔の仮面をつけよう。
…僕みたいに貼り付けたような笑顔をしてる人、…結構いるよね。
皆、その仮面をきっと…本当は誰かに外して欲しいって思ってるような…そんな気がする。
そんな日が来る、そう信じて…進もう。
END
2007/02/10
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