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 友情以上、恋愛未満。
© ひろ 
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 R指定:無し
 キーワード:幼なじみ
 あらすじ:親友に恋愛相談をされて。
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告白すらしない、恋愛未満の想いだった。

放課後、帰路へ向かう相方が呼ぶのは、別の男の名前だ。
「あいつが好きなんだ。男同士なのにおかしいのかな」
苦しそうに紡ぐ孝弥に、変じゃないと笑ってやることしかできない。
「いいんじゃん、好きになったらさ」
潤はへらへら軽く受け流す。惚れた相手が同性でも構わないと思うのは、目前で恋愛相談を繰り広げる孝弥に、友情以上のものを抱いていたからだ。

幼なじみだった。ずっと隣にいたから、大切すぎて気づけなかった。
孝弥が笑うとくすぐったくて。
喧嘩すると哀しくて。
寄り添って生きることを疑わなかった。

孝弥が「気になるやつがいる」と言い出し、それが男だと知った瞬間、潤は想いを自覚した。
同性に抱くはずのない感情。そう決めつけて、淡い恋心を認めなかっただけだ。

だが、もう遅い。

「悩むくらいなら告っちゃえよ」
親友という立場を失うくらいなら。
潤はすぐさま蓋をした。胸の痛みは忘れたふりをして。
「そうだな、ありがとう」
見上げると少し背の高い孝弥が、やわらかく相好を崩す。切れ長の眼が優しい光を放っていた。

溢れそうになる言葉を呑んだ潤は、去っていく孝弥の逞しい背中を、いつまでも見送った。
景色が滲む。
淋しさと悔しさが入り混じって、もやもやと胸の中で渦を巻いた。
「キスくらい、しときゃよかったなぁ」
冗談で済ませれば、触れられたかもしれない。
醜い独占欲がそれを留めた。
これからも孝弥の親友でありたい。たとえ傷ついても、真っ先に頼られる存在として側に。

想いが色褪せるまで。
せめて互いに別々の道を歩き始めるまで。







2012/11/27
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