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09年06月テーマ詩歌『おばけ』
(1)2009/5/30
いるの?
(うん)
いないよ
ふふふ
(2)2009/6/6
「境内のお化け」
夜降る雨は、言葉静かに地を湿らせていた
そこに横たわる木葉が靡かぬ程度の風に、揺られながら
命を感じられない事などない森を両脇に携えた、手摺りのない百を裕に超える段々を登り切る手前
トタン、とした鈍響は枝落ちであろう
聞こえはしないが、後に羽音が続くのかもしれない
最終段を後にし、一対の狛犬と、焦げ茶と橙を混ぜ合わせた門に頭を下げて、彼を目指す
昔からあったのか、誰かの手によって植えられたのか、一つ
持ち主の分からない大木が堂々たる存在感と威圧感を示し、そこに在る
その地域一帯が彼、もしくは彼女の管理下にあるかのように
薄い朝闇の色付け、甲高いフルートの音は、その覆われた深い碧の中から鳴っている
瞬間、御神木が息を吸い込むと同時に夜明けの鴬が鳴り止む
秒も無いかもしれない無音は、確かに自分の心臓を高く響かせ、閉じた目を開けるだけの行為すら酷く長く感じられた
目の中の薄い膜の焦点が合うにつれ、幹が、枝が、葉が、溜めた息を一気に吐き出す様を捉えた
消えた霧と無音がまた、彼ないし彼女の存在を強調させた
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