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[1] 理想のセックス
By 直美
07-19 19:09
この激しい痛み、まただ…。期待した方が馬鹿だった。
直美はベッドの上で眉を顰めながら浩介の挿入を必死で耐えていた。裂けるように痛く苦痛以外の何者でもない…。それはみしみしと音を立てて入ってくるようだった。
1ヶ月ぶりに恋人の浩介と体を交わらせた。風邪で薬を飲んで大人しく寝ていると頭がフワフワして、夢の世界にいるような感じがした。
ちょうど生理が終わったのも重なってか、朝起きて隣にいた浩介の寝顔を見ると急にムラムラしてしまった。
セックスしたい・・・。直美は久しぶりの性欲に少し期待していた。今日なら気持ちのいいセックスができるかもしれない。
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[2] By 直美
07-19 19:10
期待とは裏腹に、前戯はほとんどなく軽く胸と乳首を触り下着の中に伸びた爪を持つ指を入れて激しく動かす。
さっきまでの性欲がさっと引いていくのが分かった。それでも最後の挿入にわずかながら期待を寄せて足を開いた。
「もっと優しくして」
そう言っても挿入を止めることなく奥の方にズンズン突き進んでくる。
苦痛に顔を歪めるがまるでそれを楽しんでいるかのように、腰を動かし始める。
腰を引こうとするがぎゅっと肩を押さえつけられて今にもつりそうな程痛い。
「はっ、はっ、はっ・・・」
浩介だけが荒い息を出して感じているようだ。これでは恋人の体を借りて自慰行為をしているのと変わりないと思う。
「俺ってSなんだよね」
そう言っていた彼を思い出しながら途方にくれていた。
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[3] By 直美
07-24 08:54
付き合った当初から浩介のセックスに全て満足していた訳ではない。浩介が生まれ持って不器用な性格と手先の持ち主であるのは、付き合う前から何となく分かっていた。
しかし自分もそれまで処女でいたため、セックスとは所詮こういうものだと思ってしまっていた。
回数を重ねるごとにオルガズムに達することもできるようになった。彼のテクニックが上達したというのではなく、ペニスの根元に自分で感じる部分を擦り付けて無理やり達する方法を見つけたのだと思っている。
逆に浩介は、自分はSだからという理由で、段々愛撫に対して手を抜くようになり荒々しく体を重ねてきた。
今時、高校生でももっとマシなセックスをしているかもしれないのに。
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[4] By 直美
07-30 09:25
またいつものように足をぎゅっと閉じて擦り付けて何とか達しようと努力する自分がいる。
‘性の不一致’という言葉が頭に浮かび、以前はそれを理由に離婚するなんて大げさなと思っていたが、今なら心から同情できると思った。
もう浩介とはセックスするのは止めよう。こんな思いをする位ならオナニーしている方がマシだ。
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[5] By 直美
08-05 08:53
沢山の男性と付き合ってきた友達の江里子に相談すると、ある程度予想はしていたが、
「体の相性が合わない男とは別れてしまえばいいのに。私だったらそうするな」とはっきり言われてしまった。
「江里子は体の相性ってあると思うの?」
「そりゃあると思うよ。性格が合う、合わないってあるみたいに、エッチの仕方も同じように合う合わないもあるでしょ。」
「でもそれってエッチの仕方を変えたら合うようになるかもしれないってこと?」
「そうねー。でも難しいと思うよ。性格だって根本的な部分はなかなか変えられないしね。」
セックスが合わない相手と付き合い続けるのは間違っているのだろうか。 一人になるともやもやと考えこんでしまう。
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[6] By 直美
08-09 08:48
それでも直美は浩介と別れることができなかった。それは一人になるのが怖かったという理由が大きい。セックス以外では小さな不満も多少はあるが優しい面も沢山ある。それに恋人がいるという肩書きを持っているのは安心感に繋がった。恋人がいるのだから全く‘モテない’女というわけではないだろう。
ある日の夜、直美が浩介の家に行くと大学のクラスメイトの准一が遊びに来ていた。
「おっす。久しぶりだな」
「どうしたの〜?准一が来るなんて珍しいね」
「たまには浩介と飲みたくなってさ」
「ゆっくりしていってね〜」
久しぶりに会えたことが嬉しくて思わず顔がほころぶ。
「おい、ここは俺んちだからな。さっさと飲んで帰れよ」
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[7] By 直美
08-11 09:03
准一は仲良しグループの中の一人で、浩介と付き合う前はよく二人でカラオケに行ったりショッピングを楽しんでいた。
昔は准一に対して淡い恋心を抱いていたが、バイト先の年下の彼女と付き合い始めて恋はあっさり終わってしまった。
3人でテレビを見ながらビールやチュウハイを飲んでいると、直美の携帯の着メロが鳴り響いた。そっとメールを確認すると准一からのメールだった。
思わず「どうしたの?」と言いそうになったが、准一が目配せして何か合図をしたので黙ってメールを見た。そこには、 「直美と抱き合いたい(笑)」と書かれてあった。
真剣に話すと重く見られるから、あるいは恥ずかしいから「(笑)」をつけたのだろうか。傍には浩介がいるのに、どういうつもりなのだろうか。
すっかり動揺してしまった直美を尻目に、准一は何事もなかったかのように笑いながら浩介の話に付き合っていた。
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[8] By 直美
08-25 09:01
准一のことが気になって仕方がない。メールを見ただけで、体の奥の方から忘れていた衝動が湧き上がってくるのを感じてしまったのだ。
「トイレ行ってくる」
浩介がリビングの外に出た時だった。
机の右隣に座っていた准一が体を近づけて来たかと思うと、いきなり直美に唇を重ねてきた。一瞬のことなので初めは何が起こったのか分からなかった。
頭が真っ白になるという表現が合っている。静かなキスだったが激しい恍惚感と欲情感が襲ってきて、息苦しくなったのを悟られないようにするのに必死だった。
こんな現場を浩介に見られたら!どんなにか激怒されるだろう。何をされるか分からない。
顔を離そうと首に力を入れたが、准一は直美の頭の後ろを押さえて離れないようにした。
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[9] By 直美
08-25 09:02
ジャーとトイレの水を流す音が聞こえた。まずい。
純一は素早く体を離し元の位置に戻って缶ビールに口をつけていた。直美もテレビを見るふりをして何とかその場をしのいだが、気付かれないかどうかハラハラして生きた心地がしなかった。
しかし、不思議なことに恋人以外の人とキスしたことの罪悪感はほとんどなかった。相手が准一だったからだろうか。体中が准一への気持ちでいっぱいになっていた。キスまでしてしまうと、次は純一に抱かれることを想像した。
直美はそれからほとんど上の空で二人の話に相槌を打っていた。ぼーっとテレビを眺めるだけで頭は働いていなかった。浩介の携帯が鳴ったのにも気付かなかった。
「もしもし?あ、はい…。今からですか?……大丈夫ですけど?…はーい」
「先輩に麻雀来いって言われた」
「行くのか?」
「ああ、面倒だけど山下先輩の誘い、断ったら怖いからな」
「准、悪いな。行ってくるから適当に飲んで帰って」
 浩介はささっと支度するとアパートを出て行ってしまった。
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[10] By 直美
08-27 07:44
「行っちゃったね。これからどうしようか」
准一はそう呟くと直美の方の背中を抱き、再び口付けを交した。
熱いキスの嵐が降ってきた。さっきされたのと違って濃厚で長い長いキスが。准一の大きくて弾力のある唇が直美を優しく、淫らに包み込んでくる。舌を絡め合い、互いの感触を確かめ合った。
唾液が混じり合い、ぷちゅっ、ちゅっと水音が発せられていた。唇の周りには溢れた唾液がついてしまったが嫌な気はしない。浩介とのキスではこんな風に感じることは出来なかった。
夢中になって准一と口付けを交わしていると淫らな気持ちに火がついた。このまま二人の唇が一つに重なって蕩けてしまいそうだ。
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