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[1] 幻狂道
By 夜中遼旅
04-27 21:28
風の狼が 狼が
流れに乗って罵る 吠え猛る
獰猛な鎧を壁や戸が遮るも 勢い、
止まることなく回転する
二重螺旋は夜の建前を着飾る
合間に揺れる 波打際の形状
ツンザク、若い葉も老いの茂みも
ドヨメク 乱世の乳臭い汁
弱る伸びる紐解ける河川敷は
風に構わず花の香を呼び寄せる
何処から集まってくるのかと 桜が
散った傍らに綿毛がはみ出る
人目気にせぬ音楽は時に花々しい 宴
祭りの先の丸みを帯びて滑り台を望む
伴侶 銑鉄に誓え、
W53S
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[2] By 遼旅
05-03 23:27
これは、残滓の勝利だ。
逃れられない虚像の刹那より、永遠を脱兎の如く奪い、
我先に体内の血流の一部へと還元したのだ。
夢見たものは、ついに私のものだ。
夜の河川敷に差す電灯の下に、幽霊を翳すことさえ叶う。
知らない男女の交わる腕を裂くことも叶う。
たちまち私は夜の王と化し、雨水溜まりし道の窪みに魔を注ぐ。
闇は誰にも捕らわれることがない、ゆえに私が
その大きな懐をもって縛り上げるのだ。
悲しみ暮れて狂気を唄い、
悦び乗り上げて遺物の夢が照り映ゆる。
聞け 静寂の因果のうねり、
絶えず燃ゆる脱力の一潮。
W53S
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[3] By 遼旅
05-10 23:55
我先にと雨に打たれるようになったのではない、天気への関心が薄れたのである。崩れた様子に倦怠を抱くことはあるが、それは摂理、四季自然の表情を愛するならば、"それでも人は進まなければならない"などと、重い腰を持ち上げるはずがない。ゆえに、我先に憂鬱。濡れる、濡れる、音も無く濡れる。蛙の喝采も雨音の暗寂さも、無理にこじつけた波紋がない、ゆえに音も無く濡れる。身体の芯より日々の恋慕が洗い流され、泥水のような反駁の酔いが滴る。
W53S
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[4] By 遼旅
05-26 12:24
私の夢はそこには無いので、
他の本屋で探すべきだと思うんです。
題名は同じだけど訳者が違ったりとか、
カバーの見た目がかっこ悪いとか、
妥協したくないんです、私の夢なんですから。

出会ったのはずっと前、
あんまり昔だったので忘れてしまっても良かったのですが、
私はこの歳になっても一目惚れしまうものですから、
そんな自分が醜いのですね。
鏡を見るたびに、
眼鏡のずれた首の太い男が誰なのかわからなくなります。

夢を取り返さなくちゃ、
死にもの狂いの人生だ、
そして滑稽だと笑われる醍醐味だ、
夢の一つや二つ持ってなきゃ、
出世にひびく。
W53S
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[5] By 遼旅
05-29 10:23
薔薇の色した肉雨が
生音立てて降り注ぐ
私はアリス孤独なの
君はピーター、英雄さ
夢の世界に黄昏て
獣の膿に足濡らす
悩ましい朝、赤と黒
関節の無い球体に
庭の蕀を刺しましょう
大きなリボンふわふわり
パンツスカート切々に
黙示の王子、赤い竜
秘密、屋根裏、お茶会へ
無垢な少女を連れてって
腐る果実を欲する前に
硝子の眼球蓋をして
W53S
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[6] By 遼旅
07-07 04:07
私はその濁流には満足している!
荒れ狂い、辺り一帯の岸を飲み込む。
醜くもあり、美しくもある。
その流れには満足している。

しかし私には義務がある。
この世の理不尽な刑罰である。
得体の知れない濁流に近づき、
両腕を突っ込み、水をすくい、こぼしながら、
屑と金とを分ける篩に掛けねばならない。
そうして私は初めて、美しい金の水にありつける。

川が澄んでいる時代は終わった。
人は不明の公害に悩まされ、
不自由な悪夢にうなされるようになった。
よく生きるためには、手をかけねばならないのである。
W53S
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[7] By 遼旅
07-23 00:34
産みたいのなら
さっさと産んでくれ
みんながみんな
ためらおかげで
後の奴らがつかえてる
重装歩兵も待ちくたびれる
抜き差し抜き差し十月十日
赤子はめでたく出兵だ
この世の功績
立身出世
この世の煩悩
南無八幡大菩薩
はみ出なければ幸せだ
墓場に着くまで匿ってもらえる
はみ出たのならおしまいだ
突き刺し突き刺し馬の骨
血だらけ流産
今回は縁が無かったということで

看護婦の点呼
「次はあなたの番です」と
ようやく救われた心地がして
医者の宣告
「申し上げにくいんですがあなたの命はあと……」と
終幕。新興宗教へすがりついて
教祖の弁明
「来世へ向けて励みましょう」と
踏んだりふんだくり
晴れて不自由の身だ
W53S
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[8] By 遼旅
08-20 06:09
私は、鋼鉄を錬成したい。
ゆえに消沈、消沈。
岩石を穿つための水滴、汗でも涙でも、
気を含んでいればよろしい。
表面に弾かれた瞬間に拡散しないからだ。
鈍いのがよろしい、
消沈、消沈。私の気は衰えない。

悲しみの世界をこえて見えてくるのは静かなものだ、だから私はようやく騒ぐことで安らかになれるのだ、私の他には時刻の鐘が打つばかり、私はそれを区切りとして騒ぎに趣向を凝らすのだ、せせら笑い/憤怒/汚物/無邪気な拍子/水滴の形而上も忘れず。消沈、鎮。

パノラマ、ノロマ、ノルマ、のんきなパラダイスだ。君は結末だけを見ればよいのだ。何も鋼鉄の錬成に興奮することはないのだ、頑丈で難解な夜であってもひとたび眠りに堕すれば落ち着きは君のものだ。無理してその股を開くことはないのだ。

岩石を砕くための鋼鉄、ゆえに甘い恋路に惚けたのでは真っ先に輝きを失ってしまう。苦虫を舌の中に転がしながら接吻を強要しなければならない、ありったけの裸で街を歩くようでなければならない、道草をするにも辞書引きのように図鑑を開かなければならない、しかしそれらの義務は柔軟な酸の水滴によって溶かされていなければならない。
消沈、消沈。菩薩の笑みが皮膚をなぞり、治癒がなおも進む。
W53S
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