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[1] 桃源
By 紅魚
06-28 21:02
白桃剥く指先のざらり
ひたひたと、
ひたひたと、
手首つたう汁の行く先の鋭角の、
うすくれない、
頬杖。
並んだ机と椅子。
整然の、無機質の、
薄暮の気配に生物めいた顔が恐くて
俯き加減、
結んだｾｪﾗｧのﾀｲの不揃いだけを一心不乱に見つめている少女は、
乱れた鬢掻き上げるのを
先刻から躊躇っていて。
Pa、ri、
微かな音は気のせいではなく、
白く乾いた唇が
震えるよに開く。
先生教えて、嘘――。
かすれた響きは、
息を呑むよな鮮やかさで、
伸ばされた武骨な先端は
戦慄くしかなかった。
ｻｲﾚﾝ、
六時の。
騒つく、騒めく、
不穏の気配。
薄紫の、唐紅の。
先生、教え、て、嘘――。
晧歯がゆっくりと象牙色の液体質の双丘を割る。
恨みがましい眼差しと
変貌した粘着性の、唇。
絡めば良かったのだ、
指先。
ひたひたと、
ひたひたと、
夜の匂いに紛れて。
舌、こえ。
馨。
せんせ、おしえて、うそ、
不実を欲しがる少女と、
逸らされた視線の、
ｺｸﾘと動く喉仏の、
ｶﾀと軋んだ、教壇、の。
ｾﾝｾ、ｵｼｴﾃ、ｳ、ｿ、
空気に満ちた果実の馨、
と同質の苛立ちを孕んだ聲の途切れがちの、
薄暮に紛れた、何か。
伏せられた睫毛の奥の、
誰そ彼刻の震える熱が誘発、した、
合わせ鏡の、罠。
風が、温い。
幕切れ。
Mail
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[2]
By 紅魚
07-31 02:31
高校生の時、
日本史の先生に片想いをしていました、
というのは、
あまり関係のない話。
V803T
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[3]
By ＸＸＸＸＸＸＸＸＸ
09-01 02:31
摘み食いが美味しいのは何故か。
それは、ヒトには禁忌を破りたいという欲動が備わっているからです。
ですから禁じられることにより、対象への欲求は高まり、実行したときの快感も高まるのです。
ここには、そんな不実な、しかし無垢なる欲望に駆られたひとりの少女がいます。
果実の描写が、そのえもいわれぬ生々しさを醸し出し、６時という、境界の時間の教室というロケーションが、禁忌の震えをこれ以上無いくらいに高めています。
桃が、大人でも子供でも無い、少女が、生のままの、剥き出しのエロスを匂わせる、切なく、妖しく、それでいて芳しいような、そんな詩だと思いました。
W42H
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