月刊 未詳24

2008年12月第21号

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 木立 悟




灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目


はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置き手紙


波の上の月
狩る海鳥
滴に分かれる
とどまらぬ
糸の景 積む色
岩の街の窓
降りつづく色


埠頭 陸橋
吹雪のなかの
吹雪より高い影
通るもののない高架橋から
さらに白く
さらにまばゆく飛び立つ冠


頬の横
結びめをほどく
ほんの少し
明るくなる
あたたかな器のまわり
紙の鳥は眠る


野と野の境
かわかぬうなじ
枝から枝へ
伝い去る午後
片方の目の
片方だけの
灰とむらさき























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ねずみ
 ミゼット


ねずみはどこかのこうじょうでしんで
らいんにのって
れいとうされて
ふくろづめされる

とてもおおきく
よくふとった
しろいねずみ

そらをみたのかしら

がかのおんなは
れいとうこからねずみをだして
おなかをひらくために
みずであらう

ねずみのぞうふをゆびでさわって
おんなはなにかぽつりともらす

ればー、
しんせんなればー、
とてもきれい
なんておいしそう
わたしはたべているふりをする

ぞうふのようすをかきうつすことは
それそのものへのりかいへつながります

ねずみはしろくて
それからあかい
おおきくおおきくふとったら
れいとうされて
はこばれる

りかいのためにきりひらかれて
もしくはへびのちにくにかわり
あるいはそのままはいきされて

ねずみ

そらをみたのかしら


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冬の断章
 丘 光平


もうすこし
歩いていたかった道がある
むすびあわせても
癒えない傷痕のように

ちりおくれた
紅葉のしあわせについて
持ちあわせたどのこたえも
しずかにながれてゆく川の行方を

追いかけていたかった橋がある
かけあわせても
たどりつかない故郷のように

からみあう冬という名の舌を
かみ切ったこのぼくを
あざやかに告発するために




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破水!
 しもつき七


離陸し続けることが唇のためになるんだよと
伝達された日の午後にみんな消えました
あれは号令だったんです、滑空


退廃なら
ぶっ壊してこい


   --もうじき-嵐が--るのよ
   わたしの皮膚--きっと痛がるだろ--から
   帰--なく--ゃ、建設され--家-に---


解剖
されるのはつまり肉体とかでよかったのに、それは解
体というんですよ(もうわたしをなさない骨格)破り
とるのだったら、キリトリ線を引くべきです。その腕
がしなやかという動物に、手紙をかかないうちに


こんにちは獣
きみたちというのは
緑の瞳
かなしい
いとしい
をしているね
おはようございます人類
低い湿度で



   ね--、ねえ、---いく--です-か?---
   --あた--かい--きゅう--なかに-は-もう--
   帰っ--こら-れ--いのに----


地雷の上で踊る
吊り上げられたら
剥がれる/わたしの


どくっ、どくっ、
くろくなる血液をそこらじゅうにめぐらせ刃
向かわせ、まっ白な怒りをたちこめた前日に
おそわれる

……
うつくしい
なんていらない
あらゆる滑空をわたしはのろい、
あるいはわたしも/死ににいきたいのだと


   やあ



むきだしの
あなたがやぶけていって
はだいろじゃなくなった

少女、あなたをうらみます
あなたをうらむたしをのろいます
のろわれたわたしはわたしにころされていく
こうしゅ
という方法です



叫べ!
(発音--されない-ね)
ここに野生はなく、
たどたどしい喉をかかえた女の子たちはみな
歯並びがよい

きみの好きな
子宮から凍るの


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 木立 悟



   




からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら


道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を招び終える
ひとつの色を招び終える


めまぐるしく静かな
水の洞を染め
生まれては逝き
晶はにじむ


朝の亡霊が窓を洗う
水は巡り 音になる
変わらぬ風が吹いている
夜のままに問うている


ひらいた音がいつのまにか
見知らぬものを包んでいる
かがやきのないかがやきの
あらゆる花と手のひらに似て


空も空も空も空も
生まれつづける声を浴びる
これはあなた あなたでしかなく
ぽつりぽつりと ひらきゆくもの


ただ一度きりの応えが
震えつづける
青や白を
招びつづける


























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握手(T2)
 えあ

汗をかいたうみが
潮の流れでこどもをはこんでくる
いつまでも温度は低い
群れ、
手を繋ぐことはない

緑と紺が交互にみせあい
こわさをおそれない
そのからだたち
それでも迎えいれるひろさにどれかのひかりが呼応する

二羽にならぶ鳥たちが
星のうえにしめった足をかたくおきざりにする
軽減された尾のはばたきに目をかすめながら
小さな手をにぎりしめこどもはまた横たわる

しぬまで
わらいつづけるよ
そんな
うそつきを隠して
流れ流される

あおさにめまいして
うえをむくこどもの帯をいつまでもさめざめした顔で見送り

うごきだす
その姿が
ゆきどけをおもいださせるようにとけだして
きづいても
上をむいて流れるしかなかった



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無題
 クマクマ

外にいるのか、内にいるのか、気に病んだところで。息はすきまから、ひっきりなしに吹きつけて、痛い。

博物館に、咳ばらいがひびく。みささぎに眠っていたひつぎは腐って、色あせて、当時の面影を遺してはいない。

紙ふぶきが舞っている。祝杯を掲げている。接ぎ木を足し続けて、今では空をおおうほどの枝葉が守る下で。わたしは、凱旋してくるものの名を知らない。

利を得ようと、彼岸からいかだが押し寄せる。頓挫した列を、後から来た列が乗り上げて。駆けつけた衛生兵が、手をのばした流民を叩き伏せている。

不眠症だったのかも知れない。この日蝕は、計算にみちびき出されて、寒さを思い起こさせる。

季節売りの地図に、ここを描いてあったのか。花のことは。






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冬の断章
 丘 光平



もうすこし
歩いていたかった道がある
むすびあわせても
癒えない傷痕のように

ちりおくれた
紅葉のしあわせについて
持ちあわせたどのこたえも
しずかにながれてゆく川の行方を

追いかけていたかった橋がある
かけあわせても
たどりつかない故郷のように

からみあう冬という名の舌を
かみ切ったこのぼくを
あざやかに告発するために



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pic/北城椿貴


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