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[1] メルヒェン
By 紅魚
06-28 20:59
 
水が流れるから
行かなくちゃ。
呼んでる、
哀切のジンタ。
秋風が運んできたんだよ
ご愁傷さま。

青い青い青い空の青い巻き上がるよな螺旋の感覚に頭の天辺から急速に絞られるようで泣きたいのだか笑いたいのだったかそれさえもう判らない其処にあるのは反作用の重力だけ。左廻りに浮遊する重力――。

秋の空は嫌い、
秋の空は嫌い、
何処かに行ける気になるからね、
本当は何処にも行けないのにね、

見世物小屋が出ている。
猫娘がしきりに手招き。
祭りの住人になりたくて、僕は、
カルメ焼きの馨で生きているつもり。
金魚と一緒に泳げる、つもり。
ペロリと出した舌先は
林檎飴の紅。

風のゆるやかが髪を揺らすのが水に巻かれるのと酷く似ていてその重苦しい安堵にうんざりしそうな自分が嫌い飛ぶ夢を見なくなったあの日を思い出したくなくて必死で藻掻いている。喪失が僕を酷く不安にさせる――。

彼岸花が咲いてます。
空気に流れだす紅色がまるで焔みたいで
一等好きな花なのに
僕は恐くなってしまったりもする。
あのね、
ごんぎつねの葬列を思い出すんだ。
これは内緒の話。

水が流れるから
行かなくちゃ。
あれはビィドロの音色。
真っすぐ行くんだよ、
間違うな。

見渡せ過ぎて怖かった。
烏瓜が揺れていて、
百舌鳥が啼いたりしていた。
右を向いても秋で、
左を向いても秋だった。
何処までも、秋、だった。

青い空と彼岸花と、
昼の月。

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[2] By 紅魚
07-31 02:25
湧き上がるリアルの情動と、
原風景との融合。
秋は、
明瞭過ぎて怖いのです。
暴かれる心持ちがする。
V803T
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[3] By XXXXXXXXX
08-27 02:27
夢を見た直後の、まだ夢から解放されない時間の、あの引力のようなもどかしさのようなモノを感じる詩でした。

注目すべきは矢張りあの、句読点も改行もなくまくし立てたあと、一文とダッシュでおわる二つの連でしょう。
夢を見ているときの、あの独特の引力や重力を感じると共に、急速に内向きの世界に引きずり込むスピード感があります。

そして直後の空白。
ふっ、と中空に放り出されたようです。
だからその直後に突如現れる外(その前の内向きに対して言っています)の風景が、やけにくっきり映るのです。

秀逸な手法です。


確かに感じるモノはあるのに、それを言葉に出来ない。
それがこの詩は特に強かった。
様々な感情が微妙なバランスで渦巻いていて、これが何か、ということの出来ない詩です。


ひとつ気になったのが、「帰路」でも見られたあの、形容動詞の末尾を切って体言化する書き方です。どうも違和感が拭えません。


余談ですが、タイトルがドイツ語ですね。しかも意識して。確かお嫌いだった筈。この詩に流れる感情も、推して知るべし…というのは深読みでしょうか。
W42H
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