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[1] 帰路
By 紅魚
06-28 19:12
蕩けるような朱がゆらゆらとする。
一瞬幻かと思ったそれは、
線路を焦がす焔です。
あんまり揺れるものだから
世界が燃えると思い違えて、
愚者が水に飛び込んだ、
という妄想、だとか。
僕は、淋しい。

吐息がとても白いので
一寸先の手探り
薄く滲むのは赤色ばかり。
遮断機のシグナルと銭湯のネオンと、
線路に燃える火と、
ネオンの文字は極楽。
そうね、極楽、
手を伸ばして届くなら良いね、

遮断機の耳に残る音にぼんやりとして
渡り切らないうちにまた警報
(ねぇ疲れるよ、
とてもとても疲れるよ)
夢のような赤の規則的が残す、
冴え渡る夜に緑の残光。
僕は、淋しい。

こんこんと歩道橋上れば
一体何の辻占か
もうじき満月だねと誰かが言うのが聞こえてしまって

眼下に連なるテェルランプの点滅を
酷く絶望的だと思う。
雪が降り出しているのだから、
月なんて見えないのに。
(昇りは二十六段、
降りる時は一段多い)

雪が舞う空を見上げれば
奇妙な浮遊感。
硝子張りのエレベェタに似ている、
と思いませんか、
(のぼるのぼるのぼるのぼる、
くちからでそうだ)
両手を高く差し延べて
眩暈に震えながら歩く。
掴みたい物などないのだけれど。
夜の雪はとてもとても奇麗、ですね。

国道を行く車の暴力的は不可ない
ごうと行き過ぎる風に乾いた眼を閉じると
瞼の裏が赤くて熱くて、
ああ、
全てが此処に焼き付いてしまったのだと
わっと声を上げたい衝動に
身を捩って、捩って、
訳も分からず僕は
沸点の涙を抑え切れないのでした。

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[2] By 紅魚
07-31 02:13
帰路は、
いつでも憂鬱と諦めとを伴って、
圧倒的に襲いかかってきます。
あたしは、
振り払えずに回り道をしてしまう。
V803T
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[3] By XXXXXXXXX
08-23 01:15
第一連ではそこが冬の夜だと分からないため、遮断機の赤いランプが幻想的にクローズアップされます。なかなか大胆な手法ですが、利点も大きくく、欠点も大きいと思います。

線路に燃える火と、のところは、読点より句点のくるところだと思いましたが、その辺の意図は汲めませんでした。まあ、大した意図も無いのでしょうが。

それから気になったのが、的、の後に主格助詞が来ることです。これはかなりの違和感がありました。
ですがここを、規則性、暴力性、としても詩の雰囲気にややそぐわないかも知れません。

それから、綺麗、を敢えて奇麗、とするところが、心象をより正確に伝える佳い表現だと思いました。僕はこの字は知らなかったので、始めは上手い造語だと思って仕舞いました。
僕は歩道橋の上の場面がとても印象的でした。ガラス張りのエレヴェータ、そんなことは考えてもみなかったので、想像してトリップしそうでした。同時に、それが幻想的であればある程、車のテールランプの群が、どれだけ絶望的な風景かも心に迫るように感じました。この対比(意識的にやったのではないにしろ)は見事です。



帰路、と言って最初に考えるのは、矢張り学校からの帰路です。しかし時間も遅いようですし、そうではないかもしれません。何より、ここに表れている感情は、淋しさ、絶望感といった顔触れですから、(作者の性格からいっても)学校の帰路ではないでしょう。何か途轍もなく楽しい出来事の後でしょうか。
そんな帰路を思わせる作品でした。
W42H
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