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[1] 夏の耀
By 紅魚
06-28 19:29
 
踏切の音が
追憶を誘う。

手を繋いで歩いたあの、
楠ノ木の馨色濃い聖域のこと、
だとか。

道は酷く乾いているのに
開襟シャツの背は湿気を帯びて透け始めていて
恋金魚フワフワ、
風が冷やりとするから
流れる項(ウナ)に手を伸ばす。

シャツの裾に遠慮がちに絡む、指
kara-koro-ro、
ビィ玉の音。
はためく更紗に曹達の泡の軽やかを添えて。
砂埃。

慎ましやかな金魚は俯き加減で
稚児帯の尾ユラユラ。
汗握る掌の中
風車の原色クルリ、
熔ける。

朱塗りの宮で手を合わせ
盲目的に祈ったのは
白痴の金魚の、孤独。
閉じた眼開いた砂嵐、
に、舞う、
アスファルトに灼かれた鰭を
ペリと剥がして食べる妄執
ズキリと痛む眼窩の奥、
緑の尾を引く残光に
我を忘れて、
紅色を浮草に沈める。

PA、CHA、

風車だけが見ていた
夏に溺れる金魚と、
僕の歪んだ肩甲骨 



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[2] By 紅魚
07-31 02:16
擬音と、
夏の密度。

学生時代、
踏切から始まる、
楠繁る参道の先の神社は
エスケェプの場所でした。

V803T
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[3] By XXXXXXXXX
08-24 01:09
独特のエロス漂う作品です。真っ先に連想したのは、つげよしはる(義春だったかな)の漫画でした。

文全体から静けさが聞こえてくるのは、「蛙飛び込む水の音」効果ですね。素敵だ。

ひとつ(僕が)残念だったのは、アスファルトに灼かれた〜のところの魚へんの漢字がよめなかったせいで、あのあたりの表現が(ハイライトなのに!!)汲み取れなかったことです。
それと、何故僕が、金魚、つまり恋人(作者なのでしょう)の孤独を祈るのか、というところです。いくら想像しても僕にはその気持ちが解りませんでした。

この詩にも、縁日グッズが散りばめられていますね。時間帯は昼でしょうか。それともこのような行為に及ぶのだから、もっと人目につかない時間帯でしょうか。 僕は何故か昼を(砂埃や熱いアスファルトからでしょうか)想像していました。
(赤い)浴衣のようですから、矢張り縁日に来ているのでしょう。
因みに僕は…、いえ、なんでもありません。

若い頃の恋愛の熱っぽさをリアルに思い出させる詩でした。
余談ですが、矢張り紅魚さんの文体は昭和って感じがします。






更に余談ですが、僕も京極が好きです。全作三回ずつくらい読んでます◎
W42H
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