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 ルイーノ
 
 
 
元気でいますか

きみの居場所は
知りませんが
この手紙はきみへです

色褪せない何かは
ありますか

見失った夕食
剥き出した
淋しさの部屋で
言葉見当たらぬ
抱擁は幾度も

星たちの滲みは
ピアノ線の鋭さを隠し
逍遥へと色づく
硬直をきたした背中は
浅はかな擬態に
国道を
走り抜けていました

傷ましさの矢
ひとしきりの涙
久遠の旅出
そのはじまりの一つです

忘れ得ぬ光景なら
どこにでも
誰も知らぬ土地を
希望と呼び
埋まっていった言い訳に
この心臓は止まります

深夜の駅舎の沈黙から
肌の記憶が辿る
長い長い道々の曲折
薄氷を踏みゆくごと
緩和されてゆく思いは
きみと離れていたかった
そんなたった一言に
帰還出来そうな
気がするのです

始発ブルーを過ぎ
安らぎの寝室へ到着する
一月の厳なる美しく
北風を透かす陽光たち

朝の
眩しさを満たした
清涼の木々の深呼吸

行き場ない枯れ尽いた心に
黄金の日が
分け隔てなく降り注げば
きみの行く道もまた等しく
溢れる祝福を浴びています

それは言葉では
足りなく

どうか
きみなら

色褪せない何か
まだありますか
 
 



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ビールください
 ピクルス
 
ハロウ、こちらヒューストン

テレビでは古いドキュメンタリーをやってる
呑み過ぎてアパートに帰ってきて
洗面所の鏡を見たら
ガッカリした

すりへらしてすりへらされて

やっとみつけた
と思った

おかけになった電話番号は現在使われておりません

あの日、喫茶店
一番奥の席で
きみは怒ったように
俺の眼を見ずに語り始めてからずっと

知ってる
冷蔵庫には缶ビールとマヨネーズしかない

先月、帰郷した
親父は病気らしく
小刻みに震える手で
自分の名前を書く練習をしていた
帰りのホームでは
すっかり老けた母が
俺に万札を握らせた
ピン札の似合わない皺だらけの掌に
おもわず空を見上げた

たくさん忘れていた
たくさん思い出しかけている

月にウサギなんか居やしない
そうやって騙して騙されて
おつりを誤魔化すように

家を出る時
若かった母は泣きながら
きっときっと立派な人になりんさいよ
もうかれこれ

換気扇が煩いんだよ!

なぁ、
誰かが忘れずにいてくれるだろうか
いつか許されるのだろうか

ぬるくなったビールに舌打ちして
布団を何度も
何度も何度も何度も叩いた

 
 


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