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青潮
 上原楽恵


丘の上では絶えず揺れながら
枯れた花言葉を数えて
遠くで音もなく船を運んでいた
あの流れが
めぐり巡ってもう一度
背後からそっと耳をふさぐ
触れない手の温かさ


季節ごとに移り変わる
街路樹の色でさえ
魚群を散らす潮境のように
ぶつかり合いながら
はっきりと分かれている


靴を脱いだら足首を揃えて染める
何もかもが深く青い
風の世界






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無縁塚の秋
 腰越広茂


だれひとりとしてしることのない果実の
種子のほほえみは約束 され
底も無い墓標により
うきぼりにされ た
(風の透明度は(曲線の乳房(声も
(ふるえ(、を(空きすぎる、
(かかしの大空(伝導なさる(。。。。。。
あっ!
裏の林の暗さにたたずむ
亡霊の静脈を、さかのぼ る
と、とんぼの翅を幽かなひかりが透けて逝く

(あっ!、の亡霊は、
 凍み氷ることの出来ない複眼によって
 映し出される。終わりなき影
 おさらば。青鬼灯の化石よ
 風化する時にながす涙の成分は、いよいよいよ
 無機質な爪先のつややかさ)あなたひとり
、わたしもひとり、
ゆうげのしたくをするまないたを
たたくほうちょうの音がする
のはしあわせか
だれもかれもひとりで生まれて来る
とは限らない
一卵性双生児
の産声に耳をかたむ かせる
永い夕暮である

あのさきの
ゆくえ
不明
おそろしく
冷たい肌にふれる
生ぬるい 空気につつまれつつ
晴空に
透ける硝子の鳴き声は
いびつに
影の澄み
解けちまう
ゆわゆわと
あがってゆく
ここへ
おすわり
だれも問わぬ
白日夢を
さめる
子午線の群星は
しずけさをささやく
うしなわれた祈り
ひとすじの
光によみがえる
いつかしら
闇におおわれ
きらめくものは
果てしない
墓標にしるす
あてのない封印を
よみあげる沈黙

大切なおもい出さえ時を
まきもどすことはかなわぬ
内骨格は
かげろうのゆらめきひかる鎮魂歌に刻 まれ
しだいしだいに。うちあけるしろく
冴えかえっていけ 虚空の闇を

あの眼球の子午線へ。そしゃくする
影はいつまでも手をふりつづける
流星しながら
音素からわたしの星雲に。あきらめるきぼうをする
、無意識の外骨格は、

硝子のまくの む こう がわ
遠い視線の尖頭の
熟れる花火
に(有り難う、とあいさつし))))))))))

過去にはもどれないから
遠い
、あのものの時は止まったまま、




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午後の辺
 木立 悟








水の上の
白と黒の火
水に映らず
流れてゆく


森の奥を
森が動く
双つに分かれ
遠去かる


枝が描く枝
重なりのむこう
途切れた道のむこうに
無い森がつづく


水をすくったままの手のひら
ずっと空の頂にある
曇が
静かに鳴っている


風 声 鉱
揺れている
見えないものが
揺れている


ふちどりのまたふちどりが降り
手のひらは水をこぼさぬまま
踏切の上の
空を染める






























































































































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なし
 サヨナラ
 
 
ひつぎにいれられた
ちいさな玩具が
骨と花と
交じり合うとき
外で
めんぼうのたばを
なげあげる
ひとつふたつの手が
咲くのだと
いいます


猫の
轢かれた猫の
緑色の瞳に
のしかかる雨が
あんまりに
整っているから

約束をしたくて




朝があるから
もう行きな
そういったことばも
届いたりしないところへ
みんな帰ってく

たんぽぽのわたげだよ

どうぶつえんの
鳥や狼の代わりに
まっすぐな海を渡る
石の上を歩くより
長生きするって


緑色の瞳が
花の香りや
ぱちぱちとしたリズムで
眠ろうとしているとき
ひつぎにいれられ
ひからびた指が
その毛並みを撫でます


つぎ会うまでの
約束だといいます
 
 
 


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真夏の星雲
 腰越広茂

古の血は続いて来た この私に
終りを告げるのは、
ひとつの影の透けた暗さ。
私と同一に
よみがえることはない原子へ返る

風死す
広い家の縁側で、うちわをあおぎ
真っ青な空を
玄鳥が、鳴いていく
姿も無く
雲ひとつ白く
庭に咲く花の
首はほそく
光輝を嚥下している
ただひとり
あおぎ続ける

涙を流さず泣いている
宙をみつめ
紫の小石がふるえ零れる時
波紋はふちもかけはなれて過ぎる耳を
いまだ、訪れない

遺影は
ほほえみ
額縁に沈黙している。
空の先に 私がいる
手のひらをみすえて、目をほそめる
線香の煙がどこへとなく漂っていく
魂は
しん、とからだの奥底、でささやいている
いつも
つかむことは出来ない遠さで
夕焼けにしずまる
蒼い扇風機を回して



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