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[ 1 ] ◆ 木工の町クントカカ・クントカカ分署前の表通り
** PC名:***** **

インペリアル・ライトブリンガーのクントカカ分署、その正面にある表通り。

※木工の町クントカカ
帝都からユロイシェン街道を10km程進んだところにある町。人口およそ12万。
すぐ近くにある森から切り出した樹木を用いての木工が盛んな町であり、ここで作られる大小様々な家具や調度品は見た目こそ地味であるがとても頑丈で使いやすいと好評。
帝都に店を構える商人達が商品を仕入れに来る姿がよく見られる他、市場では販売されていないような品を特注するためにやって来る人達の姿も時々見られる。

** 投稿日時:2024.03.19 12:50 ** [ 編集 ]
[ 9 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

「えぇ、とても楽しみ。」

(此方の反応を窺うような表情に、未だ羞恥に駆られた余韻の残る表情。更に自身の申し出に心華やぐような笑顔が躍るならその豊かな感情の変化を具に眺めているだろう。公務に多忙を極めるであろう彼女にとって、気に入りの店を訪ねることが束の間の息抜きなのだろうかと。目当ての熊について時に冗談を交えながら熱弁を振るう様子を、一歩下がった所から続きつつ和かに相槌を打って。雑踏に揉まれながらも一度もぶつからなかったのは彼女の配慮のお陰に違いない。そして不意に彼女が小首を傾げた様子を捉えるが、自身の固有能力である幻惑が作用しているなど思いもよらず、同じように不思議そうに見つめ。だが、そうこうしている内に“馴染み”の店の前へと至ると、既にショーウィンドウには木彫の熊達が彼女を出迎えるように飾られており。)

「─どうぞ、閣下。」

(きっと夢中になって覗き込んでいるであろう彼女に先んじてドアを開いて待っていた筈だ。当然彼女を知る店主は驚いたように言葉を詰まらせていたが、後に続いて入店した贔屓の客である自身に気がつくと怪訝な表情を。すかさず人差し指を唇に添え彼に向かって目配せをするなら、何やら訳ありらしいと察したらしく早々に奥に引っ込んでしまうだろう。もしかしたら同伴かと勘違いされたかもしれない。)


** 投稿日時:2024.03.28 21:47 ** [ 編集 ]
[ 10 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(不思議そうに首を傾げるこちらを不思議そうに見つめる相手、という害の無いすれ違いは目的地である家具屋がもう目前であったために数秒足らずで終わりを告げる。傾げていた首の角度を元に戻して扉を開こうと一歩踏み出しながら手を伸ばし──かけたところで、ショーウィンドウに家具や調度品と共に飾られている熊の木彫り像が目に入り、思わず動きを止めてしまう。そして既に購入済みで見知っている、愛らしいデザインにデフォルメされた熊がちょこんと座って同じくデフォルメされた鮭を咥えている木彫り像と身体を丸めて眠っている木彫り像の間にある、今まで見たことのない立ち上がって木の枝に実る果実へ前足を一生懸命伸ばしている木彫り像を感動に輝く瞳で見つめていると、扉が開いたことを告げるベルの音に重なって聞こえてきた入店を促す相手の声に肩を震わせ)

「──……、!? は、はいっ!? な、何か……あっ、や、すす、すみませんっ! 失礼しますっ!
……あ、店主様。こん──え? …………、あの、クロエ様。もしかして私、店主様に何か失礼な態度を取ってしまっていたのでしょうか……?」

(視線を勢いよく引き剥がすように振り向いて扉を開いたままの姿勢でこちらを待つ相手の姿を視界に捉えれば、慌ててペコリとお辞儀をしてから足早に入店する。そして圧迫感が生じぬよう計算された配置で陳列されている商品群を通り抜けた先にあるカウンターへと視線を向けて、そこに居た店主に挨拶しようと口を開きかける。が、一瞬だけ怪訝そうに眉を顰めた表情を見せたかと思うと、こちらが何かを言うより早く店の奥へと引っ込んでしまった店主の反応に、僅かに遅れて入店してきた相手のほうへと振り向きながら、彼女と店主との間にあった今し方の遣り取りに気付くことなく不安げに眉尻を下げつつ問いかけて)

** 投稿日時:2024.03.29 12:04 ** [ 編集 ]
[ 11 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

(予想通り夢中になってショーウィンドウを眺めていた反応に微笑ましげな笑みを含みながら、自身を待たすまいと急ぎ足で入店する様子を見守った筈だ。彼女にしてみれば、早々に奥に引っ込んだ店主が一見ただの無愛想な印象となってしまっただろう。大半の人間なら憤慨してもおかしくない状況だったが、彼女の場合は違ったらしい。不安げな表情で自らの行いに非が無かったかどうか尋ねられると、職人気質という体の良い言葉でフォローすると気を取り直すようにショーウィンドウの裏側とその傍に陳列された木彫の熊の棚を指し示し。店主には後日事情を説明しなければと内心で謝罪しつつ。)

「まさか。職人さんですもの、きっと忙しかったんだわ。ねぇ、それより閣下。可愛らしいクマを是非紹介してくださいな。」

(無事に彼女の気を其方へ向けることが出来たなら、背後からさり気無く背に手を添えてブースまで連れ立って進もうとして。自然に、かつ無意識に相手のパーソナルスペースに潜り込むのは、これまで培ってきた自身の手練手管の一つだった。)


** 投稿日時:2024.03.30 17:31 ** [ 編集 ]
[ 12 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(失礼な態度を取ってしまったのだろうかという不安をそんなことはないと否定してもらえれば、ほっと安堵の吐息を一つ。そうして不安に曇っていた表情をフラットなものに戻すと、こちらに身を寄せて背中に手を添えながら熊の木彫り像が陳列されているブースへ行こうと促してくる相手に同意の頷きを返す。そして、彼女独自の立ち居振る舞いについてはこちらもまた極自然に、意識するまでもない当然のものであるかのように受け入れながら店内を移動し、やがて……という程の距離ではないが目的地に到着すると、キラキラという擬音が聞こえてきそうな笑顔ですぐ傍に立つ相手のほうへこちらからも更に身を寄せて、女性らしい曲線を描いている彼女の右肩に左手を置き)

「こほん──それでは不肖ながら私(わたくし)、ラーラシェリーツァ・エセルハリスがクロエ様にこの子達を紹介させていただきますね。
まずはショーウィンドウに飾られている子達について……鮭を咥えている子はシリーズの中で一番最初に作られた物で、今でも根強い人気を誇るロングセラーの逸品となっております。そして居眠りをしている子は──」

(大仰な言い方で話を始めると空いたほうの手でショーウィンドウにあった鮭、居眠り、立ち上がりの熊達を順番に指し示しながら簡潔に解説していく。本当はそれぞれの熊達に対して抱いている愛情、もといセールスポイントについて一つ一つじっくりと熱弁を振るいたいところであったが、そんなことをしていれば時間が幾らあっても足りないし、仮に時間の問題に目を瞑ったとしても相手にウンザリされるだけ……ならまだマシで、普通に考えるならドン引きされるだけであろうと、自制心(ブレーキ)をしっかりとベタ踏みしておく。とはいえ、好きな物について語るという行為にテンションが多少上がってしまうのは避けられず、まるで長い付き合いの友人同士であるかのようなスキンシップを無自覚に行ってしまっているのだが、そんなこちらの様子に相手がどのような思いを抱くのか──微笑ましく思ってもらえるのか、それとも鬱陶しいと思われてしまうのか……或いは、彼女の能力である【幻惑の香】の影響下に陥ったと勘違いされてしまうのか、果たして)

** 投稿日時:2024.03.31 12:11 ** [ 編集 ]
[ 13 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

(お目当てのブースまで辿り着くなら、やはり少女のように淡く透き通った瞳を輝かせて商品に食い入る姿に相変わらずの微笑みを。更に自身の右肩には彼女の左手が添えられ、まるで親しい間柄のように時に身体が触れ合いながらその熱弁に耳を傾けていた筈だ。殆ど朗々と語る彼女を眺めていて、正直な所クマの説明については話半分だったのは秘密にしておこう。どちらかと言えば自身にというよりも、熊に魅了されているという表現の方が正しいかもしれない。彼女程の人物が自身の能力の影響下にあるとは考えずらいが、これ程までにパーソナルスペースが狭い気質だとも思えずに。唯一自信を持って聞き取った、最も人気だという鮭を咥えた木彫の熊をそっと手に取ると自身の目線まで掲げ、まるでその可愛らしさに唸るように。次いで精巧さを共有するべくそれを彼女の程近くまで寄せるなら、より密着した格好となるだろう。そのまま耳元に口付けを落とす要領で顔を傾け、既の所まで近づく事が叶ったなら、どうとでも言い逃れ出来る余地を残しながらゆっくりと甘く囁いて。)

「──とぉっても、かわいい。」

(彼女は一体どのような反応を示すのだろうか。如何に平静を装おうとも、これ以上ない好奇心とスリルに唆られた金色の瞳は物欲しげに細められていて。)

** 投稿日時:2024.04.01 17:49 ** [ 編集 ]
[ 14 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(ショーウィンドウの三体と棚に現在陳列されている六体についての解説を一通り終えて満足気な吐息と共に一区切りを入れたタイミングで、相手が鮭を咥えた熊の木彫り像を手に取り愛でるような仕草で自分達のすぐ近くにまで寄せてくれば、視線と意識をそちらへ誘導されるままに空いた右手を相手の二の腕に添えながら互いの身体を密着させて)

「──を見事に表現していると言えるでしょう……あら。ふふ、クロエ様はその子のことが気に入られ──ひゃんっ!
……え? あれ? え、え? ……、……、……〜〜っ!」

(唇が触れるか触れないかといった近距離からの囁きに耳をくすぐられて小さく身体を震わせると反射的な動きで相手のほうに顔を向け、そのあまりの近さに一瞬理解が追い付かず瞬きを二、三度と繰り返す。そして自分の手の位置と衣服越しに感じられる相手の柔らかさや体温(ねつ)、そしてたった今囁かれた言葉の内容から数秒遅れで現状を理解すると、かぁっと顔を真っ赤にしながら横に一歩下がって手と身体を離す。それから、解説(はなし)に夢中で無意識の内に相手の身体に気安く触れてしまっていたことについて、こちらに対する不快感を露わにしてもおかしくないというのにそうはせず、こちらをからかう──細められた瞳に籠められていた感情を読み取ることは出来なかったが、可愛い、という言葉のほうに含まれていたと思われる意図についてはそう受け取った──だけで流してくれた相手に対し感謝と謝罪の言葉を述べようと思うも、醜態を晒してしまった気恥ずかしさに舌がもつれてしまって何も言えないまま、唯々目を逸らしてモジモジすることしか出来ず)

** 投稿日時:2024.04.02 12:23 ** [ 編集 ]
[ 15 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

「…ご無礼を、お許しください。」

(空色と金色、咄嗟に彼女が自身に振り向くと互いの双眸が混じり合いそうな程だった。恐らく話に夢中で無意識だった距離感を再び取り直す様子に、謝罪を口にしながらも絆されたような表情が矛盾を示している。今なら未だ適当な嘘を並べて誤魔化せた気がしたが、相反して一歩詰めようと静かにヒールを鳴らす。顔を赤らめて言葉すらままならないのは、また純粋さを曝け出した羞恥からか、それとも──。木彫を元の場所に戻して更に適切な距離を置こうとする彼女に詰め寄り、ブース横の支柱に優しく追い詰めることが出来たなら。相手の細い両手をそれぞれ絡め取り、言葉通り拒否権を委ねるべく自身の鎖骨に添わせようと試みる。そのまま両手を顔の両脇に付き10センチ程度の身長差を埋めるようにゆっくりと顔を傾け、形のいい彼女の唇に自身のそれを重ね合わせようと落ちていくが─。彼女程の実力があれば自身を拒絶することは容易な筈だ。もしも受け入れるなら二つ目の能力である【死の接吻】の発動条件が揃うことになる。)

「ねぇ閣下、お嫌でしたら、私を、突き飛ばして…?」

** 投稿日時:2024.04.04 10:07 ** [ 編集 ]
[ 16 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(店の床を捉える視界に相手の靴先が映るのと連動してこちらへ接近してくる気配を感じ取ったので逸らしていた目をおずおずと正面に戻すと、そのまま足を止めずゆっくりと詰め寄ってくる相手の動きに、え、と疑問の声を漏らす。そして見えない手で押されるかのように横へ避けるのではなく後ろへ下がるも、その動きが支柱によってすぐ遮られてしまえば相手からされるがままに流され続け、気が付けば控えめな化粧によってより一層引き立てられた美貌が眼前に迫っており、そのまま仄かに漂う香水(アイリス)の香りを意識するよりも早く互いの唇が重なり──合う、その直前。相手の鎖骨に触れていた右手を動かして立てた人差し指の爪甲を自身の唇に宛がうと同時、相手の唇を指の腹で受け止める。そうして、一本の指を挟んでの唇同士が接触しない接吻を交わすと、未だ相手に触れたままの左手で言われた通りに拒絶(つきとば)したりなどせず──出来るわけが無いし、しようとも思わない──、代わりに相手の頭部を少しだけ押し返そうと人差し指に力をそっと籠めて)

「こうして私を求めようとしてくださったということは、そうしたいと思う程度には私のことを魅力的だと思ってくださったのですよね? それについてはとても嬉しく思います。
……ですが、こういうことを性急に行おうとすると、クロエ様に対して要らぬ誤解を抱く者が現れないとも限りませんので、今後はなるべくお控えになられたほうがよいかと思います。──私がクロエ様に働いてしまった非礼については、これでお許し願えませんでしょうか?」

(見る者によってはそこにも彼女特有の色香を感じ取るのであろう、憂いを帯びた淡褐色(ヘーゼル)の瞳を真っ直ぐに見つめながら困ったような微笑を浮かべると、自分の思うところについて落ち着いた口調で語る。そして、相手がこちらを求めようとしたことについての感謝の気持ちと、しかしそれを受け入れなかったことについての謝罪の気持ちを一言一句に籠めながら所感を語り終えた後に一つの願いを申し出て相手の唇から指の腹を離すと、返事を待たずに目を閉じてまだ彼女の唇の感触が残っているそれを自分の唇に重ね)

** 投稿日時:2024.04.05 12:07 ** [ 編集 ]
[ 17 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

(突拍子もない自身の行動に漏れ出る微かな声すら素知らぬ振りをして、伏目がちな瞳で追い詰めたまでは良かった。最後まで視界の中で輝いていたのは澄み切ったアイスブルーで。だが、間も無く触れたのは弾力のある唇、ではなく軍人とは思えぬほどしなやかな指の腹だった。拒絶した事実すら決して自身を傷付けぬようにと紡がれていく言葉の端々に彼女の配慮が感じられ。だが“要らぬ誤解”と自身の軽率な行為を諭すような物言いが届くと、少しだけ押し退けられた金色の瞳は確かな憤怒を孕んで。彼女の言う通り殆ど初対面の(しかも国家最上級の軍位を持つ相手)に対して自身の行いは、あらぬ疑いを持たれても致し方がないものだ。が、これまであらゆる手練手管を駆使して生き抜いてきた自身にとれば相手に働いた“行為”そのものは何ら珍しいことではなく。幻惑の力を抑えたい気持ちと如何にも抗えない半分自身に巡る淫魔の本能。人格と知性を兼ね備えた彼女と自身では何もかも違い過ぎる。薄汚い自身の生き方を否定されたような、それでいてごちゃ混ぜになった言い表し難い感情すら見透かされてしまったような気がして。寧ろ罵倒してくれた方が楽だったのかもしれない。)

「──貴女に私の、」

(何が分かる─。静かな怒りに震えた言の葉は既の所で噤まれる。そうしてから一歩、また一歩と彼女から距離を取って後ろに下がると冷静さを取り戻すように溜息を吐いて。何を熱くなっているのだろうと自嘲気味な笑みを溢しつつ、行き場を無くしたキスすら掬い上げる優しさを見遣り。このままぞんざいに切り捨ててくれたらどんなに楽だろうかと、深々頭を下げた表情には諦観さが滲み出ていた。)

「いえ、どうかおやめになって。…弁解の余地もありませんわ。如何なる処遇もお受けします。申し訳、ありません。」


** 投稿日時:2024.04.10 17:07 ** [ 編集 ]
[ 18 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(双眸に宿り、途中で止められた言葉に籠められていたのは確かな怒りの感情。それが果たして何に由来するものなのか、ここまでの遣り取りから推測することは出来てもその推測が正解であると証明(だんげん)することは出来ない──何故なら、相手が飲み込んだ指摘(ことば)の通り自分は彼女のことを何も分かっていないから。自身の唇から指を離して、頭を下げながら謝罪する相手を真剣な面持ちで見据えると、先程とは逆に今度はこちらが距離を取った相手のほうへと近寄り、下げられた頭部の眼前で片膝をつく。そして未だ表情窺えぬ相手に向けて発する言葉は、しかし怒らせてしまったことに対する謝罪ではなく)

「クロエ様──私は、クロエ様が何に対して怒りを抱かれたのか理解しておりません。ですが、その怒りは単なる癇癪や不愉快の発露といったものではなく、自らにとって大切な何かを貶められた時に抱く真摯なる怒りであると感じました。
……クロエ様。私は、怒るべき時に正しく怒ることが出来る貴女のことをもっとよく知りたい。そうして、自らが犯してしまった過ちをしっかりと認識した上で私は貴女に謝りたい。ですから、どうかお願いします。私に、クロエ様の怒りを……揺らぐことのない信念と決して譲れない誇りを、伝えようとすることを諦めないでください。……このような振る舞いが不遜極まるものであることは重々承知していますが、それでも私はクロエ様にそう願うことをやめません──決して」

(私はあなたのことを何も分かっていない、でも分かりたいと思っている、だから私にあなたのことを理解させるのを諦めないでほしい──謝罪の代わりに告げた言葉は、自己申告の通り不遜と思われても仕方ないもので。しかし、偽らざる本心を偽りなく相手に伝えるための言葉はこれ以外に思いつかなかった。そんなこちらの言葉に果たして相手がどういった反応(リアクション)を取るのかは不明なれど、たとえその反応がどのようなものであったとしても全て受け止めるという決意を胸の内に秘めながら、微動だにせずその時が来るのを待ち)

** 投稿日時:2024.04.11 12:11 ** [ 編集 ]
[ 19 ] ◆
** PC名:クロエ・ヅヴェルネーレマン **

(重力に従ってするりと肩から流れ落ちていく髪とハイヒールの爪先にいつの間にか付いていた小さなキズをぼんやり眺めてその場をやり過ごそうと。しかし、不意に彼女の気配を感じてハッとするなら視界には軍服が汚れるのも厭わずに膝を着く姿があり。本来不躾を働き咎められるべきは自身であるのに、紡がれていく言の葉一つ一つに彼女の嘘偽りない誠実さが滲み出ていた。やはり優れた洞察力を持つ彼女は自身の複雑な心情を察しているようだ。そして、決してその場凌ぎの謝罪でなく、自身の“揺らぎ”に寄り添う物言いには思わず目を見開いて。ひた隠しにしていた秘密を暴かれたような、またそれすら何処かで望んでいたような。相手の心を解いて病魔のように忍び込み、文字通り食い尽くしてきた過去。いっそのこと彼女に委ねてしまえたらどんなに楽だっただろう。だが、そうするには余りに時間が少な過ぎたのかもしれない。彼女の言葉が言い終わるかどうかのタイミングでどうにも耐えられなくなり、勢い良く半身を起こしたなら微動だにせず此方を見上げる澄んだ瞳を睨み付けるなら)

「黙って!!」

(甲高い自身の怒鳴り声の余韻を受けピンと張り詰めていく空気が店内を支配していく。相手の立場がどうだとか、場所を弁えるだとか、そんな余裕すら失って動転する表情は彼女の言葉が自身の心の奥深くに刺さった何よりの証左だった。自身には信念、ましてや誇りなどある筈がない。ひた隠しにしていた劣等感は、軍の象徴たる彼女という存在に比べると本当にちっぽけなものに思えて。冷静さを欠いた自身にとって彼女の優しさは、惨めさを自覚させる刃にも等しかったのかもしれない。)

「─今日のことは忘れて、何もかも。」

(絞り出すようにそう吐き捨てると、鋭いヒールの靴鳴りを伴って逃げるように立ち去っていくだろう。どのような答えだろうと委ねた彼女が追って来ないのも、心の何処かで分かっていたのかもしれない。そのまま裏手に待たせてあった馬車に勢い良く乗り込み、荒々しく帝都に向けて出発するように言い放つ。ひたすら脳内で反芻する彼女が自身に尋ねた“信念と誇り”というフレーズを掻き消すように馬の嘶きに耳を澄ませては、ゆっくりと動き出した窓の外の景色を睨めて。
店内に残されたのはほんのり香るアイリスと床に落ちた黒い名刺、自身がオーナーを勤めるジャズバー「Iris」の招待状だった。偶然にもポケットから落ちてしまったのか、それとも─。いずれにしても、この名刺をどう扱うかは彼女の意思に委ねられたようだ。)


>退室

** 投稿日時:2024.04.16 23:26 ** [ 編集 ]
[ 20 ] ◆
** PC名:ラーラシェリーツァ・エセルハリス **

(勢いよく上半身を起こした相手と視線が交わるのも一瞬のこと、拒絶混じりの怒声をこちらに叩きつけると何かを断ち切るかのような、或いは切り捨てるかのような足取りで家具屋から出て行くその後ろ姿を、立ち上がりながら見送る。……相手が馬車に乗り込むまでの間に追いついて手を取るだけならば、【紗ノ祓】を発動するまでもなく容易に実行出来た。だが、彼女のことを理解していない今の自分が仮にそうしたところで、彼女をより深く傷つけるだけで彼女にとって救いとなるようなことは何一つ出来ないだろうと──心を掻き乱す感情のうねりによって歪められた彼女の表情を思い返し──非常に残念ながらそう判断せざるを得なかったため、この場で彼女を引き留めることは出来なかった。そうして己の至らなさに深く嘆息しながら腰を屈めて床へと手を伸ばし、そこに落ちていた一枚の黒いカードを拾うと姿勢を戻しつつ表面に書かれた『Iris』という文字列を見つめる。持ち主の魔力が籠められていないので他の情報は何も記されていないが、帝都にある『Iris』という店名のジャズバーについては聞き覚えがあったので、彼女(もちぬし)の職業から考えて十中八九このカードは件のジャズバーに関するものであろうと判断しつつ、床に落ちた際に付着した汚れを指で撫でるように拭ってから軍服の胸ポケットに仕舞い)

「……すみません。こちらを頂きたいのですが、よろしいでしょうか? それと、包装は贈答用のものをお願いしたいのですが──」

(彼女の怒声に何事かと店の奥から戻ってみれば、先程までそこに居た筈のお得意様の姿はどこにも見当たらず、インペリアル・スターナイツの元帥が一人で佇んでいる……という状況に戸惑っている様子をありありと見せている店主のほうへ振り返ると、思考を切り替えて安心してもらえるよう何時もの微笑を浮かべながら商品の購入を希望する言葉を告げると共に、手のひらを上向きに掲げて目当ての商品を指し示す。その手が向けられる先にあるのは勿論、熊の木彫り像……だったのだが、しかしそれは自分が目を輝かせながら見つめていた新作ではなく、既に購入済みである筈の鮭を咥えた最古(ロングセラー)の作品で──)

>退室

** 投稿日時:2024.04.17 12:36 ** [ 編集 ]

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